研究概要 |
本年度は以下の4点を中心に研究を進めた。 (1) 日本における進化論受容 日本の生物学者たちが進化論受容についてどのような歴史認識を持ってきたのか、メタ歴史学的な分析をおこない、従来のモース中心の受容史とは違った歴史記述の可能性を探った。この研究成果を日本科学史学会・日本進化学会で報告し、East Asian Scince, Technology and Societyでレビュー論文として発表した。 (2) 動物学と狩猟文化 日本における動物学者の標本採集活動が、狩猟文化の変容によってどのような影響を受けたのか、幕末から1930年代まで検討した。この成果は日本科学史学会生物学史分科会シンポジウムなどで報告された。 (3) 環境倫理と歴史認識 現在の里山保全や外来種駆除で語られている歴史認識を検討し、その問題点を指摘する論文「『自然の再生』を問う」が鬼頭秀一・福永真弓編『環境倫理学』の一部として出版された。 (4) 占領下沖縄における植物学研究 米軍統治下の植物学研究と林学、緑化事業の関係について沖縄県公文書館、沖縄県立図書館で資料調査を行った。 上記のほか、本研究課題初年度までにおこなった研究成果が『害虫の誕生』として出版された。
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