研究概要 |
本研究は,ロシア極東地域で毎年発生している森林火災に対して,ノア衛星画像を使って火災のホットスポット,火災煙,焼け跡を検出する方法を開発し,同地域の森林火災の状況(頻度,規模)を解析することが目的である. 本年度はまず,研究対象となるロシア極東地域を3つの領域(バイカル,ゼーヤ,サハリン)に分割し,データの準備を行った.データは1997年から2007年における各年の4月から9月までの衛星データを切り出すことによって作成した.総データ量は約404GB,シーン数は41,287シーン(バイカルが9,307シーン,ゼーヤが15,990シーン,そしてサハリンが15,990シーン)であった.このデータから対象領域が完全に含まれる(欠けのない)画像だけを目視によって選択したところ,次年度以降での解析に使用可能なシーン数は9,591シーンとなった.次に,森林火災の自動検出方法の開発に必要な3次元ヒストグラムの作成ツールならびに可視化ツールをC/C++言語で作成した.3次元ヒストグラムは分光情報に関係する情報をコンピュータ上に蓄積することができるため,ツールの開発によってホットスポットの高い温度や焼け跡の低い植生,あるいはチャネルの値そのものを3次元空間上に可視化できるようになった. 今年度は研究成果として,森林火災のホットスポット情報をウェブページ上にリアルタイムに表示するシステムの構築に関する論文を公表した.このシステムは過去から現在までの森林火災の状況を一度に見ることができるため,一般の人々がロシア極東地域における森林火災の状況を知る上で大変有用である.
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