研究概要 |
本年度はまず,土・植生,水の指数をそれぞれRGBに対応させてノア画像を可視化する方法を開発した.本方法で可視化した画像は可視チャネルと近赤外チャネルから作成した画像と比較して,平野や山脈,そして都市部などを明確に区別することに成功した.また,本方法は森林火災のホットスポット,焼け跡,煙をそれぞれ別の色で区別できるため,火災の検出にも有効であることが分かった.次に,ノア17号に搭載されている1.58μm帯のセンサであるチャネル3Aを利用してロシア極東地域における森林火災の焼け跡検出を行った.チャネル3Aから計算される正規化水指数は,海や湖,雲などでは高い値をとるが,焼け跡地点では逆に正規化水指数が低い値をとることが分かった.そこで,本研究では従来法である正規化植生指数が低いという条件に加え,さらにチャネル3Aと正規化水指数の条件を加えた条件を設定し,焼け跡の検出を行った.その結果,従来法で誤検出されていた可視チャネルおよび植生が低い地点の誤検出をなくすことに成功した.次に,森林火災のホットスポット検出方法を開発した.チャネル3Aの条件式を導入した結果,従来法と比べて湿地帯での誤検出を大幅に減らすことに成功した. また,関連する研究として,3次元ヒストグラム法およびテンプレート作成法の高速化を行った.3次元ヒストグラム法ではカウント値の組から頻度数を返すが,提案法では従来法を拡張して画像中の位置のリストを返すようにした.その結果,カウント値の組から画像中の位置を求める計算時間が従来法と比べて約1,700倍に高速化された,テンプレート作成法では並列化基盤の一つであるOpenMPを用いることにより,クアッドコアCPUにおいてテンプレート作成にかかる時間を逐次処理と比べて約3分の1に短縮できた. 以上のように本年度は火災の長期解析で用いるさまざまな方法を準備できたと考えている.
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