研究課題
平成19年度に製作したオンライン測定システムを用いて時間分解能、測定感度、実大気の連続測定に対する安定性向上等、測定条件最適化のための実験を行った。捕集溶液のDAX樹脂カラムへの通水は装置通水ラインの自動切替えにより行い、フミン状有機エアロゾルの質量濃度は1分でデータを取得するようシステム設定を行った。特に各部位の送液流量と測定感度との関係を系統的に調べ、サンプル溶存水の体積とDAX樹脂の体積との違いによる樹脂吸着率の変化を調べるなど、本装置による測定条件の最適化を行った。本測定システムを用いて、北海道大学・低温科学研究所構内にて精度評価のための実大気有機エアロゾルの質量濃度測定を試験的に行った。その結果、本測定システムによる測定値の不確定性を7%以内に抑えることに成功し、検出下限値は0.1μgCm^<-3>であった。この測定実験では標準溶液を通水するキャリブレーションを2-3日に1度の頻度で行い、有機成分ごとの透過率の再現性を確認したところ、フミン状有機エアロゾルのカラムへの吸着効率は現状の設定測定時間内(3.5時間)では有意に変化しないことがわかった。本研究で行った有機組成分画・検出部の自動化により、従来法と比べ測定の再現誤差や干渉を低減することができ、測定精度を飛躍的に高めることができた。さらに本測定装置により、これまで明らかになっていないフミン状有機エアロゾルの日変動等の短時間変動を明らかにすることが可能となり、二次有機エアロゾルの生成プロセスの解明につながることが期待される。
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