現地観測(森林部2地点、草地部2地点)から得られた地下水位変動と衛星画像から算出した植生指数(NDVI)変動の関連を解析することにより、地下水位が大幅に低下している地域の推定手法の開発を行った。全観測地点においてエルニーニョ発生時(2002年、2006年)の乾期には、NDVIが平均値より有意に大きく(標準偏差以上)低下し(NDVI低下イベント)、これは平均値より有意に大きな地下水位低下(GWL低下イベント)に伴い発生することが明らかとなった。非エルニーニョ時には-地点において一時期にのみ、このNDVI低下イベントが発生している。またGWL、低下イベントはエルニーニョ時には全観測地点において発生し、非エルニーニョ時にも一地点以外の全地点の乾期に発生している。低下イベント内での最小値との差を最大低下量とし、標準偏差(σ)の倍数で表した結果、NDVI低下イベントでは全観測地点における平均最大低下量は地下水位で2.19σ(±0.67)、NDVIで3.33σ(±1.2)となり、GWL低下イベントでは1.230GWL(±0.3)の値を示した。NDVIの最大低下量がoNDVIの3倍程度の値を示す時期を抽出することにより地下水位の大きな低下(平時地下水低下量の2倍)を広域に推定できることが示唆された。更にNDVI低下イベント内でNDVIとGWLの低下基準線と最初に交わる時期の差をイベント発生ラグとしこれを計算した結果、GWL低下後67日(±15)でNDVI低下が始まる事が示された。
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