昨年度までに高度化が実施されたモデル中の過程に対して、パラメータ値や入力データを一定分変化させた時に推定結果がどう応答するか、感度の分析を行った。その結果に基づいて、出力に強い影響を及ぼす可能性が示唆された部分については、より注意深く再検討を行った。同時に、昨年度にモデル高度化の対象とならなかった過程については引き続いて同様に開発を継続した。今年度のもう一つの主要課題は、改良・拡張されたモデルの検証である。具体的には、公開されているデータベースから各地の現地観測によるデータを収集・解析し、モデル出力と比較することで検証を行った。また国内では、大気・陸域間の微量ガスフラックスは環境省地球環境研究総合推進費S1課題などで、チャンバー法を用いて重点的に測定されている。上記プロジェクトの対象サイトである岐阜県高山市の冷温帯落葉広葉樹林を中心に、シベリア・アラスカの亜寒帯林、国内の温帯林、つくばの水田・耕地なども検証地点に含んだ。各地点において、温室効果ガスであるCO_2、メタン、亜酸化窒素の収支を推定し、それぞれの温室効果能を考慮して正味の温暖化への寄与を推定した。また、研究の進展状況に応じて、土地利用変化を組み込んだ100年間の長期シミュレーションを追加で行い、人為的な生態系改変が温室効果ガス収支に与える影響についても考察した。
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