研究概要 |
評価手法の習得として,社会ネットワーク分析に関する文献について把握を行うとともに,先行研究を踏まえて,本研究に適切な分析モデルについて見当を行った。同時に関係主体の洗い出しを行うために,礼文島での聞き取り調査を行った。聞き取り調査は,レブンアツモリソウの保全に,誰がどこでどのような形で関わりを持っているのかを明らかにするために,研究者や地域住民,NPOのメンバーなどを対象として現地において行った。これらの情報についてはKJ法などを適用して整理を行っている。 一方で,訪問者の認識を明らかにするためにアンケート調査も実施した。礼文島では,レブンアツモリソウの保全を図る上で人工培養株の販売の是非が問われており,この点については,上記の利害関係者だけでなく,訪問者の意向についても明らかにすることが必要であった。人工培養株の販売については,島民の多くは否定的であり,また訪問者の多くも否定的であった。 これらの事前調査のデータを踏まえながら,整理した関係主体を用いて,社会ネットワーク分析に用いるためのアンケート調査を試行的に実施した。アンケート調査は郵送によるものではなく,個別訪問による聞き取り調査によって行われている。試行的な分析結果からら明らかになったことは,担当者が変わる行政機関よりも,地元のNPOのメンバーや研究者など,継続してレブンアツモリソウの保全に関わっている人々により高い関連性を見出せたことである。
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