研究概要 |
アフリカにおける野生動物保護に関しては,グローバル社会からの要請という「大きな力」と,それに対抗する形で表出する現地からの「小さな力」との均衡を図ることの重要性がこれまで指摘されてきた。本研究の目的は,エチオピアにおける地方分権化と野生動物保護政策に関する具体的な事例を検討することで,1)地方分権化下における野生動物保護政策の実態を把握すること,2)地方分権下における資源管理への住民参加の実態を明らかにすること,3)1)2)の結果をふまえて,他地域の事例と比較することで,この地域の固有性と普遍性を明らかにすることにある。 平成19年度はおもに,エチオピアの地方分権化政策の導入前後の野生動物を含む自然資源管理に関する資料収集と整理・分析をおこなった。特に,1997年に環境保護局と経済開発協力省がまとめた「エチオピア環境政策(EPE:Environmental Policy of Ethiopia)」を契機にして,資源へのアクセス権や住民参加について政策変換がどのようにおこなわれたのか(おこなわれなかったのか)に関して検討し,これまでに収集したフィールドワークによる実証的資料とつきあわせて考察した。この成果の一部は日本アフリカ学会東北支部例会において発表した。
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