研究概要 |
今年度の研究では、車種別の使用年数の変化、買い替え行動の変化、車種別の燃費効率の動きという3つの要因を組み込んだ構造変化モデルを提案し、乗用車の長期使用が内包型エネルギー消費量に与える影響について推計を行い、考察を行った。1990年から2000年までの平均使用年数の伸びを分析した結果、1990年に処分された普通乗用車、小型乗用車、軽乗用車の平均使用年数はそれぞれ12.26年、9.10年、10.15年であり、2000年に処分された普通乗用車、小型乗用車、軽乗用車の平均使用年数はそれぞれ11.93年、10.29年、11.77年であった。1990年から2000年への経過年数に比例して、2000年における平均使用年数が最終的に1年分伸びた場合を想定すると、買い替え比率の実績値を反映して小型乗用車から普通乗用車へ乗り替え台数が減少する結果となった。小型車と比べて燃費の悪い普通乗用車へ乗り換え台数の低下が燃費効果による道路走行に付隨する燃料消費量を減少させることが分かった。また平均使用年数の延長が乗用車生産とそれに付随する商業活動,貨物輸送活動に必要となるエネルギー必要量を36,662(1000GJ)程度押し下げる効果があることも分かった。乗用車の長期使用によって結果的に乗用車購入、燃料購入を刺激することになる。本研究では、マクロ的な視点から、この潜在的な所得増加分が貯蓄を通して投資にながれると想定して、この影響を計測した結果、34,509(1000GJ) 程度エネルギー必要量を高めることが分かった。このリバウンド効果も考慮すると、結果的に、1年の寿命延長によって道路走行、乗用車生産、商業活動,貨物輸送活動に付随するエネルギー必要量が6,976(1000GJ)分低下することが判明した。
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