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2007 年度 実績報告書

脳腫瘍放射線療法に伴う被曝早期における認知機能障害の解析

研究課題

研究課題/領域番号 19710053
研究機関長崎国際大学

研究代表者

高井 伸彦  長崎国際大学, 薬学部, 准教授 (70373389)

キーワード放射線治療 / 重粒子線治療 / 脳腫瘍 / QOL / 認知機能 / RBE / 海馬 / 記憶障害
研究概要

認知機能の低下は,脳腫瘍や小児白血病における放射線療法に限らず肺がんにおける化学療法においても生じる副作用の一つである。19年度において,炭素線および陽子線を脳局所に照射した脳腫瘍治療モデル動物の場合,晩発期では実際の治療線量の1/2〜1/3線量である15-30Gyの照射により,記憶の獲得過程の障害が生じることを明らかにし,またその障害の要因として,海馬神経細胞数の選択的な減少が関連していることを示唆した。一方,照射早期においては,短期(作業)記憶の障害が1-10Gyの比較的少ない線量で生じることを明らかにした。さらにその障害と関連する病理組織学的変化を見いだすことはできなかったが,新たに確立した脳の毛細血管の画像化技術を利用し定量を試みたところ,照射1週間後の比較的早期に海馬領域の毛細血管数の低下が生じることを初めて成功した。
これらの結果によって、脳腫瘍および小児白血病の放射線治療によって,記憶の形成に重要な役割を担う海馬の選択的な細胞死が毛細血管の減少により誘導され,それに伴い早期および晩発期に認知機能の低下を生じさせることが推察された。臨床的には,脳腫瘍近傍の正常組織には,再発を予防する目的で治療線量の1/2〜1/3線量が照射されることになるが,19年度の成果から脳腫瘍治療時には海馬を除外した照射方法の確立が重要であることを示唆している。またそのことが脳腫瘍治療後のQOLの向上に貢献すると考えられる。さらに新たに確立した脳の毛細血管の画像化技術によって,これまで晩発期における病理変化しか報告されなかった放射線による中枢神経障害を探る新たな方法が確立でき,かつ粒子線(陽子線および重粒子線)の治療線量を推定する際のキーワードとなるRBE(生物学的効果比)の算出する指標的も利用できる可能性が推察された。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2008

すべて 学会発表 (2件) 図書 (1件)

  • [学会発表] 炭素線照射により作成した放線菌変異株より得られる新規生理活性物質の探索2008

    • 著者名/発表者名
      高井伸彦
    • 学会等名
      平成19年度HIMAC共同利用研究成果発表会
    • 発表場所
      千葉
    • 年月日
      20080414-15
  • [学会発表] 炭素線治療効果の早期診断法の開発・基礎的研究-2008

    • 著者名/発表者名
      高井伸彦
    • 学会等名
      平成19年度HIMAC共同利用研究成果発表会
    • 発表場所
      千葉
    • 年月日
      20080414-15
  • [図書] パートナー分析化学II(第2版)第6章 画像診断2008

    • 著者名/発表者名
      高井伸彦
    • 総ページ数
      11
    • 出版者
      株式会社 南光堂

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公開日: 2010-02-04   更新日: 2016-04-21  

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