研究概要 |
熱音響冷却システムの冷却特性向上に向けて3つの提案を行い,その影響について検討した. 1.粒子速度分布を調整するためにフェイズアジャスターを提案する。 システムの断面積を狭くするデバイスで、システム内の粒子速度を調整する。PAはシステム内に発生する音波の音圧と粒子速度の位相を調整する役割を果たし,低い周波数である1波長共鳴とさせ,冷却特性を大幅に向上させることが確認された.3種類の内径の違うフェイズアジャスターを製作し、その効果を確認した。2波長共鳴を1波長共鳴にすることが可能となり、冷却効果の大幅な向上を確認した。また、熱エネルギーから音エネルギーへのエネルギー変換効率の大幅な向上を確認した。内径変化によって、変換効率も変化することを確認した。 2.音圧分布を調整するためにトリガーチューブを提案する。 システムの一部を分岐するデバイスで、システム内の音圧を調整する。トリガーチューブを3種類作製し、試作機に取り付けて、その効果の検証を行った。そのうちの1つにおいてのみ、熱エネルギーから音エネルギーへの変換効率の上昇を確認した。残りの2つにおいては変換効率を低下させていることがわかった。 3.変位を調整するためにメンブレンを提案する。 システムの断面を塞ぐ薄膜状のデバイスで、システム内の変位を調整する。数種類の薄膜を用いて、熱音響冷却システムに適用した。薄膜を導入することによって、熱エネルギーから音エネルギーへの変換効率の上昇を確認した。 しかしながら、設置位置においては悪影響となる場合もあることが確認された。 3つの提案ともに効率の向上を確認したが、条件(形状、位置など)を選ぶ必要があることが確認された。
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