研究概要 |
金属酸化物微粒子はセラミックス材料,触媒,センサーなどの各分野で利用されている重要な基本材料であり,特に,大きさの均一な金属酸化物微粒子はフォトニック結晶作製材料として近年大変注目されている.微粒子の自己組織化によるコロイド結晶作製は,特別な装置や技術を用いることなく簡便にフォトニック結晶を作製する手段として注目されている.コロイド結晶作製に用いる微粒子には,大量合成が可能であることに加え,サイズ制御が可能であること,およびサイズ分布が狭いことが求められる.そのため作製例としては,高分子ラテックスやシリカ微粒子など,合成方法の確立したいくつかの微粒子に限られていた.本研究では,V_2O_5微粒子の合成方法の確立およびV_2O_5コロイド結晶の作製を目的とし,V_2O_5微粒子の粒径制御およびコロイド結晶化の条件について検討した.様々なピリジンおよび水濃度でV_2O_5微粒子を合成した結果,微粒子の粒径はピリジン濃度に依存し,サイズ分布はピリジンおよび水濃度に依存することが示唆された.本研究では,ピリジンおよび水濃度を最適化することにより,狭いサイズ分布を保ったまま粒径を100nmから700nm程度の間で変化させることに成功した.また,V_2O_5微粒子のアセトン分散溶液中に基板を浸漬し,アセトンを徐々に蒸発させることによって,V_2O_5微粒子が三次元的に規則配列したコロイド結晶を作製することにも成功した.
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