本年度行った内容は、2項目ある。以下に、それぞれの研究で得られた知見を記述する。 (1)シリコンナノ粒子の生体内での挙動および発光観察 前年度に明確にした毒性評価を基に、毒性を示さない濃度でシリコンナノ粒子を生体内のリンパ管内に直接投与したところ、シリコンナノ粒子の流動状態を可視化計測することに成功した。また、シリコンナノ粒子から発せられる発光輝度は、十分肉眼で目視できるものであった。本実験から、生体内投与による発光輝度の最適な条件設定を確立することができた。 (2)シリコンナノ粒子の排出機構評価 生体内を流動していたシリコンナノ粒子の一部が、静脈や生体組織に付着しており、生体外への排出に問題を抱えていることが分かった。これは、シリコンナノ粒子への表面修飾の不均一さや修飾濃度に関係していた。本年度の実験結果より、生体内での可視化計測を実現したことから、シリコンナノ粒子の生体内イメージングへの応用性が示唆された。しかし、シリコンナノ粒子が生体内の各部位に付着するなどの問題が生じており、今後は、この成果を基に、表面修飾技術の確立を目指していく。
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