本研究課題では、オリゴDNA との核酸塩基対形成により自己集合体を形成し、ナノファイバーとなる双頭型ヌクレオチド脂質を用いて、顕微鏡観察下で標的オリゴDNA を検出する新規DNA 検出手法の開発およびSNPs 解析応用への可能性を検討した。双頭型チミジル酸脂質とオリゴアデニル酸 (10、20、30、 40 量体)の二成分系自己集合体についてそれぞれAFM 観察およびCD スペクトル測定したところ、すべて右巻きのヘリカルナノファイバーとなっていることがわかった。さらにヘリカルナノファイバーのセクションプロファイルから、らせんピッチに相当する周期的な凹凸構造が観察でき、そのピッチ長は鋳型オリゴアデニル酸の長さに強く依存することを見いだした。さらに、双頭型チミジル酸脂質とsticky end 部位をもつ鋳型DNA、sticky end と相補的なDNA による多成分系自己集合を試みた。その結果、ナノファイバーはsticky end と相補的なDNA が存在するときのみ形成され、塩基配列選択的なナノファイバー形成が可能となった。以上のように、双頭型ヌクレオチド脂質とDNA との多成分系自己集合がナノファイバーを与え、さらに鋳型DNA の長さや塩基配列を変化させることで、ナノファイバー構造を制御できることがあきらかとなり、SNPs 解析応用への可能性が示された
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