研究概要 |
ナノスケールのテープ状酸化物構造体は、その特異な構造からバルク系酸化物材料には見られない電気、光学、化学的特徴を有している。これらの特長を生かし、酸化物ナノテープの光導波路や高感度化学センサーへの応用が行われるなど、酸化物ナノテープの作成やその応用研究が活発に行われている。酸化物ナノテープの特性は、酸化物組成や、幅・厚さといったテープサイズにも大きく影響される。従って、材料組成やサイズを簡便かつ精密に制御することは、ナノテープの特性デザインする上で、重要な技術課題である。本研究提案では、液相ナノコーティング技術と鋳型ライン構造を利用し、サイズ(幅・厚み)と材料組成のナノスケールデザインを可能とする、液相型の酸化物ナノテープ作成プロセス構築を目指す。 研究2年目あたる本年度は、「ナノテープ材料の多角化」を目標として、昨年度ナノテープ化に成功したSiO2以外の材料について本プロセスの適用性検討に注力した。 金属酸化物薄膜作製法として表面ゾルゲル法を適用し、鋳型パターン表面にTiO2, HfO2, ZrO2やTiO2/SiO2複合ナノ薄膜を作成した。薄膜上面の選択的エッチングならびに鋳型除去・基板剥離処理によってこれら材料からなるナノテープ構造の形成に成功した。これらの電子顕微鏡観察結果から、酸化物種類や複合割合によって、ナノテープの構造安定性に違いが見られた。 これらの結果より、液相リソグラフィー法をつかって、サイズ・材料が多様にデザイン可能とする酸化物ナノテープ作成プロセスの確立に成功した。今後は、これらの方法論をより多角的に展開し、物性評価や金属のナノテープ化に向けた応用展開を行いたい。
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