研究概要 |
昨年度からの成果として, ナノ・ニードル基板を用いたエレクトロポレーションの試作を行い、遺伝子導入に成功した。最終年度はさらに導入効率を上げるための検討と、今後の展開につながる全く新しいデバイスの試作を行った。以下に結果を報告する。 ●より遺伝子導入に適したニードル形状の制御 ソフトリソグラフィー技術を応用してNiのパターニングを行い、ステンレス綱表面にNiの拡散を制御することで局所的に原子濃度分布を制御した。その後、マルチ熱処理を行うことで数十ミクロンオーダーでの析出相生成場所制御に成功した。具体的には、幅100ミクロンのライン&スペース形状、及び、直径100ミクロンのドット形状にパターニングすることができた。 ●ニードル形状に依存した電場解析 遺伝子導入アレイデバイスが常に安定した導入効率を示すため,理論的にニードル形状の電場解析を行った。その結果、ステンレスニードルは十分な電場収集能力を有することが判明した。 ●電場を使わない新たな遺伝子導入方法の提案 ニードル基板を流路平面に用い、細胞と物質の混濁液を流路にながすだけで細胞に物質導入されるデバイスを試作した。ニードル形状は先端数ナノ、直径約10ミクロン、長さ約200ミクロンのものを使用した。PDMSを母体として流路を形成し、ステンレスニードルと組み合わせることでデバイスを作成した。その結果、ニードル形状に依存したタンパク質の細胞導入効率結果を得、新しいデバイスの可能性を示すことに成功した。
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