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本研究では、ナノギャップ電極を用いて、π共役分子ワイヤーによる分子接合を作製しπ共役分子接合の電気伝導機構を解明することを目的とした。本年度は、集束イオンビームを用いて作製した数nm幅のナノギャップ電極を用いて、チオフェンオリゴマーによる分子接合を作製し、電圧電流特性の温度依存性の評価を行った。その結果、分子接合は線形的な電圧電流特性を示し、低温領域ではトンネル伝導を示すが、高温領域では極めて活性化エネルギーの小さい電気伝導を示すことが分かった。分子共役長の増大により電極一分子間の注入障壁が減少し、分子間ホッピングにより電荷伝導が律速されることを示唆する結果が得られた。また、分子のトランジスタ動作に関する知見を得るため、幅数10nmのナノギャップ電極を用いてチオフェンポリマーを用いたナノチャネル有機トランジスタを作製し、電気伝導特性を評価した。電流電圧特性は空間電荷制限に起因した短チャネル効果により非線形性を示し、分子接合とは異なる特性を示すことが分かった。異なる電子状態を有したチオフェンポリマーを用いることで、線形的な電流電圧特性に変化し、30nm幅のチャネルを有した有機トランジスタでトランジスタ動作が可能であることを見出した。
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