研究概要 |
近年の科学技術の進歩に伴い、システムが巨大化・複雑化している今日、事故や故障による社会的損害は計り知れない。故障を防ぐにはシステムの構成要素である部品一つ一つの耐久性を向上させるとともに、そのシステムの運用段階において監視装置を用いた予兆情報などにより故障を事前に抑えることが重要となる。GPSを用いた衛星通信やナノセンサー、ICタグなどの誕生・普及によりシステムの状態診断が遠隔地でも可能となりつつある。このような監視装置を用いた予防保全は状態監視保全と呼ばれ原子力発電プラントや航空機などにおいて重要な役割を果たしている。 本研究は突発的な異常へのモニター情報に基づき瞬時の保全行動を要する状態監視保全(Safety Condition Monitoring Maintenance : 安全状態監視保全)おいて、モニターを複数個用いる場合の最適保全方策について検討した。モニター値が{1(警報なし), 2(警報あり)}の2状態の場合は、n個中のモニターのうちどのモニターが異常の信号を出したか否かにはかかわらず、n個中k個以上が警報を出したときにアクションをとる方策(これをk-out-of-n方策と呼ぶ)が最適となる為の必要十分条件を示した。今回の研究成果をQuality Technology and Quantitative Management誌に投稿し、レフェリーの方々より貴重なご指摘とコメントを頂いた。頂いたコメントに基づき改定した論文は2009年3月に掲載された。
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