研究概要 |
2009年度の研究では,リスクを明示的に取り入れた企業の潜在的財務指標を計測する理論モテルの構築とそのモテルを用いた実証分析を行った、具体的な研究業績は,学術論文5編,学会発表3回,書籍3編に集約されている. まず学術論文では,Shibata(2009)やShibata and Nishihara (2010)において,株主と経営者の情報の非対称性から生じる両者の利害対立を考慮し,企業の投資プロジェクト評価法を提示した.Shibata and Yamada (2009)では,複数の銀行がある特定の企業に融資をしている場合,企業の業績悪化に伴い,複数の企業が戦略的債権回収を企業に要求する結果,企業にどのよりな影響を与えるかについて分析し,その効果を考慮した上で企業の負債価値評価式を提示した.Nishihara and Shibata (2010)では.企業が負債による資金調達を仮定した上で,複占市場における企業の投資戦略について考察し,その企業のプロジェクト評価式を導出した.Shibata and Tian (2010)では,企業の再年スキームを考慮に入れ,企業の最適再生戦略について考察し,その戦略の考慮した上での企業の株式および負債価値の評価式を導出した. 次に,学会報告では,6月にポルトガルで開催されたリアルオプション学会,7月にオーストラリアで開催された国際ジャーナルJEDCが主催するコンピュテーショナル経済学会,9月にギリシャで開催された応用数学学会において,企業の潜在的財務指標を計測する理論モデルについての研究報告を行った. 最後に,金融工学のテキスト1編を翻訳し,Kijima and Shibata (2009)およびNishihara and Shibata (2009)の2つの論文が所収された書籍Recent Advances in Financial Engineering (World Scientific社)が出版された.
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