研究概要 |
本年度は1977年〜2007年までの東証一部の約600社の株価データ(日次)に関して、株価予測に関する検証と株価予測のモデル作成を行った.まず,株価が予測可能であるかを検証するために統計的な特性に着目し,その分析を行った.その結果,統計的な特性の観点からも株価が予測可能であることがわかった.そこで,感覚概念を導入したモデルの作成を行った.具体的には株価の時系列データをパターンに分類し,それらのパターンの出現頻度など学習し,そのパターンと現在の株価が一致する場合にはパターンに付随する予測値を用いることで株価予測を行うモデルを作成した.本研究で作成したモデルの有効性を検証するために1977年〜2007年までの東証一部の約600社の株価データ(日次)を用いて,ランダムに銘柄を選択しランダムに株価予測を行う手法と本研究で作成したモデルの2種類に関して株価予測に関するシミュレーション実験を行った.その結果,株価予測精度,収益率などに関してランダム選択に比べると良い結果を得ることができたが,実用的に十分な精度であるとはいえないことがわかった.そこで,より精度を向上させるために,実際のユーザが株価予測を行った場合のデータを考慮する必要があると考えられ,シミュレータを作成し,経済学実験などを行うことでそのデータを解析し,モデルに導入する必要性があることがわかった.以上の結果より株価データのみから株価を予測することは簡単ではないが,実際のユーザの体験(実験データ)を考慮したモデルを構築する(行動ファイナンスの知見をモデルに導入する)ことで株価予測は可能であるといえることがわかった.
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