研究概要 |
本研究は,微妙な加減と作業者同士の阿吽の呼吸との双方が必要とされる作業におけるトラブルを防止するためのアプローチとして,程度副詞を用いた協働作業の人的特性,および程度副詞が作業者に与える影響の度合いの把握と,それらに基づいた作業設計を目的としている.そのうち,平成19年度は文献レビュー,ならびに作業の分類・整理を中心に研究を行った. 文献レビューでは,産業分野におけるトラブルや人的過誤防止関連の文献にとどまらず,協働・協調作業やコミュニケーションに関する文献,あるいは心理物理学的観点からの「ものの感じ方」に関する文献の調査を行い,本研究と既往研究との関係を明確にした.また,過去2年間の新聞記事から,協働・協調作業におけるトラブル事例,とくに程度副詞を用いた指示を伴うような事例を抽出することにより,どのような分野・場面において,どのような状況のときにトラブルが発生しているかを把握した. 事例調査から得られたトラブル発生場面についてタスク解析などによってその特徴を抽出し,多変量解析を用いて,例えば,微妙な加減の調整や作業者間のコミュニケーションなど,トラブル発生場面の特徴(すなわち発生要因)を整理してまとめた.それとともに,例えば,力加減,距離感覚,時間感覚などのように,何についての加減や感覚に関わる事例が多かったかについても整理してまとめた.その結果,ここで例として述べたような,力加減,距離感覚,時間感覚に関わる事例が多く,微妙な加減の調整や作業者間のコミュニケーションに起因するトラブル事例が多かった.この結果を踏まえ,平成20年度に行う予定の基礎実験のモデル作業を検討することとした.
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