研究課題
本研究は、汎用性と高性能性の両立を目指して開発されてきた組合せ最適化アルゴリズムを基本に、機能の充実を図りながら、これをユーザにとってより使いやすい形に発展させることを目的とする。本年度実施した研究内容は以下の通りである。1.再最適化機能の実現に向けて、割当てタイプの最適化問題を対象に予備的な数値実験を行った。最適化問題本来の目的関数値と、再最適化による解の変化量の両方を評価尺度としたときの、これらのトレードオフの関係について調べた。今後は、このトレードオフを考慮し、多様な解を効率よく探索するためのアルゴリズムを設計していく予定である。2.入力データに誤差が含まれる状況を想定し、その不確実性に対して頑健な解を探索することを目的としたアルゴリズムの設計を行った。具体的には、辺の長さが確率変数として与えられる場合の最短路問題を対象として扱い、以下の手法を試みた。まず、辺の長さの実現値として、複数のシナリオを生成する。そして、どのシナリオにおいても経路長がある一定値以下となるよう上限を設定した上で、全シナリオに対する平均経路長が最短となる経路を求める。上限の値を変化させながら経路探索を繰り返し行うことで、平均路長だけでなく、最悪シナリオにおける経路長をも考慮した経路探索が実現できることを示した。3.大規模な線形計画問題(あるいは整数計画問題)を解くために使われる手法として、列生成法がよく知られている。さまざまなタイプの割当て問題を包括するような汎用的な問題に対し、列生成法を利用したアルゴリズムを開発することを目指し、その準備段階として、幾つかのスケジューリング問題を例題に列生成法の適用を行った。今後、列生成法とメタヒューリスティクスを組合わせた手法について研究を進めていく予定である。
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Proc. Engineering Stochastic Local Search Algorithms: Designing, Implementing and Analyzing Effective Heuristics(SLS2007), LNCS 4638
ページ: 121-135
Discrete Applied Mathematics (掲載予定)