研究概要 |
今年度は微小重力環境における火炎を模擬するための高温減酸素同軸流実験装置の構築と可視化測定装置の構築を行った.高温減酸素同軸流実験装置は,減酸素気流を作成するためのフローコントローラおよび高温気流を作成するためのヒータで構成される.ヒータは浮き上がり火炎に近い同軸流実験装置の出口にニクロム線ヒータを設置することとし,その性能試験を行った結果,既往の研究より浮力の影響を十分小さくできる気流温度である250℃程度の高温気流を生じさせることができた.可視化測定装置は小型のDPSS方式半導体レーザを用いることにより,全長300mm程度のコンパクトな光学系を構築し,実験装置近傍で測定することができるものを開発した.これらの実験装置を用いて,来年度浮き上がり火炎近傍の詳細な流れ場測定を実施する.また,対照データとなる微小重力環境での燃え拡がりおよび燃え拡がり限界酸素濃度に関する実験を行った.この実験では,通常重力下では対向気流速度に関わらず17vol.%の酸素濃度で燃え拡がり限界となったが,微小重力環境下では対向流速によって燃え拡がり限界酸素濃度は変化し,通常重力下より低い酸素濃度でも燃え拡がることが示された.これにより,T'ienらが数値計算により示した微小重力環境における燃え拡がり限界酸素濃度の変化を実験的に証明することができた.
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