研究概要 |
今年度は昨年度作成した高温減酸素同軸流実験装置を用いた燃焼実験を行った. 高温減酸素同軸流実験装置は, 減酸素気流を作成するためのフローコントローラおよび高温気流を作成するためのヒータで構成される. 燃料にはPMMA棒を用い, 溶融したPMMAがプール火炎を形成するようにした. このプール火炎の周囲を同軸状に高温低酸素気流が流れる. 酸素濃度と気流速度を変化させながら限界酸素濃度と同軸流速の関係をマッピングしたところ, T'ienらが数値計算により求めた微小重力環境下におけるU字型の燃焼限界に近い燃焼限界マップが得られた. しかし, 実験点がすくなかったため, その燃焼限界マップを微小重力環境下における燃え拡がり実験結果と比較することはできなかった. PTLS法により流れ場測定については, 輝炎放射による影響で昨年度構築した可視化装置ではうまく可視化ができなかった. よって近紫外域での可視化測定を次年度実施する. また, 対照データとなる微小重力環境下での燃え拡がり実験については, MGLAB落下塔による実験を実施し, 低流速範囲でのより詳細な燃え拡がり酸素濃度限界の測定と燃え拡がり速度が速いセルロース系燃料での燃え拡がり限界の測定を行った. 実験結果より, T'ienらの数値計算結果と異なり低流速領域での急激な燃え拡がり酸素濃度限界の上昇は見られず, また燃え拡がり速度の速いセルロース系燃料では最も低い酸素濃度限界が低流速側に移動し, その酸素濃度も上昇した. これらの傾向と高温減酸素同軸流プール火災との比較を数値計算と組み合わせて次年度実施する.
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