クラスター型プロトカドヘリンファミリー(cPcdh)は多様なアイソフォームをもつ膜蛋白質であり、神経系で強い発現を示す。各アイソフォームは個々の神経細胞で差次的な発現を示すことから、個々の神経細胞を特徴づける可能性をもつ。本研究ではその発現制御機構を明らかにしていく事を目的に、まず各アイソフォームの第一エキソン上流にある保存性の高い領域CSEの解析をおこなった。CSEは発現制御に関与することが明らかになっている。解析の結果、CSEに加えてその前後の配列もcPcdhの発現に寄与することを明らかにし、各CSEはそれぞれ異なる転写活性を示すことを明らかにした。以上の結果は、各アイソフォームがそれぞれ非常によく似た配列CSEを持ちながらも、それぞれが固有の反応性を持つことを示唆する。また、cPcdhαc2の転写開始点はCSEの上流から始まるものがあることを明らかにし、c2は他の可変領域エキソンとは異なりCSEの上流にもプロモーターを持つことを示した。CSEに特異的に結合するタンパク質をゲルシフトアッセイにより確認しており、今後は研究計画に示した通りに結合因子の同定を進める。cPcdhの発現を制御する遠位のエンハンサーの探索については、cPcdhγの下流にエンハンサー活性を示す領域があることを明らかにした。cPcdhαの下流にもエンハンサーがあることが報告されており、これらエンハンサーとCSEとの関係を解析することでcPcdhの発現制御機構の解明に近づくことが期待される。
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