研究課題
分裂酵母の減数分裂特異的プロテインキナーゼあるMek1は、分裂酵母のCds1やヒトやマウスのChk2に類似した構造を持ち、減数分裂期相同組換えと減数分裂チェックポイント制御に必要である。Mek1の減数分裂における役割を知るため、Mek1が仲介するキナーゼカスケードの機能解析を行った。まず、上流のキナーゼとしてRad3/Tel1によるリン酸化部位の同定を行った。その結果、T15に隣接するS12/S14も含めた3ヶ所のリン酸化部位が同定できた。ここにT15はチェックポイントに必要であることが報告されているCds1のT11、hChk2のT68に対応する。rad3tel1二重破壊株における減数分裂過程でのMek1のリン酸化状態(ウエスタン法)とキナーゼ活性(in vitroリン酸化アッセイ)の顕著な低下は、このリン酸化がMek1の活性化に重要であることを示唆する。一方、mek1破壊株(mek1Δ)は相同組換え頻度が半減するが、これら3アミノ酸をアラニンに置換したmek1-S12AS14AT15A株では僅かしか頻度が低下しなかった。次いでMek1の自己リン酸化部位をキナーゼ領域内に1か所同定し、このアミノ酸をアラニンに置換した変異株を調べたところ、リン酸化活性と相同組換え頻度の低下を確認できた。これらの結果はこのリン酸化カスケードの後半部分が減数分裂期相同組換えに重要である事を示す。さらにMek1のリン酸化標的を検索し、減数分裂期相同組換えに必須のTid1とMus81を見出し、それぞれにおいて複数のリン酸化部位を決定した。このうちMus81については、Mek1およびCds1を用いたin vitroのリン酸化解析から、Mek1によってのみリン酸化される2つのアミノ酸、およびMek1とCds1によってリン酸化される1つのアミノ酸を同定した。これらをアラニンに置換した変異株を用いたMek1依存的なリン酸化標的の挙動についても報告し、Mek1が仲介するキナーゼカスケードの詳細明らかにした。
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