研究概要 |
新規マラリアDNAワクチン開発の目的で、ネズミマラリア原虫P.berghei (Pb)の完全長cDNAクローン群をワクチンとして接種して免疫応答を効率良く誘導するクローン(群)をスクリーニングした。これまでの研究で、チャレンジ感染に対して生存の延長が確認された2000クローンから、不要な遺伝子を除いた計1518クローンの塩基配列を、Pbのドラフトゲノム配列上にマッピングし、P.falciarumのゲノム配列と比較した。そこからcDNAクローンがコードする遺伝子を予測して特徴別にサブセット化し、各サブセットのワクチン効果を検討してきた。今回、IL-2, IL-4, IL-10, IFN-γが最も高く誘導されたクローン群'(UK群)につき、2回目のサブゼット化を行い、更なるクローンの絞込みを目指した。 精製したライブラリサブセットおよび対照の空ベクターをDNAワクチンとして免疫し、その後回収した脾細胞を用いて、Pbの粗抗原と共培養し、原虫特異的サイトカイン産生および血清中のIgGを調べた。その結果、IL2、IL-4、IL-10、IFN-γ、およびIgGを高く誘導するHP群(312クローン)を得た。また、HP群を3群に分けた実験では、HP3群がIL-2とIL-4を高く誘導し、他の群はサイトカインの高い産生誘導を示さなかった。また、血清中のIgGも同様の傾向を示した。以上の結果から、1518クローンから、312クローンまでの絞込みができたと考えられた。また、この312クローンを3群に分けた実験から、サイトカインの産生誘導がクローンの組み合わせによって変わる可能性が考えられた。
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