研究概要 |
従来の低分子活性物質精製スキームでは回収率が極端に低かったため、クローン培養ハエトリソウを用いた生物検定を指標として各精製段階において検討を行い、回収率の増加と精製段階の短縮を行った。まず、低分子画分について、カラム充填剤にトヨパールHW-40-Sを用いたゲルろ過カラムクロマトグラフィーにより分画を行った。続いて、得られた活性画分を用いて各種カラムクロマトグラフィーによる条件検討を行った。その結果、Lop-ODSカラムを用いた中圧逆相カラムクロマトグラフィーによる段階溶出を行うことで従来よりも効率良く精製を行うことができた。さらに高速液体カラムクロマトグラフィー精製を行った。以前の研究では、通常のODSカラムでは活性が消失したが、溶媒条件の検討を行うことにより、活性が保持された精製条件を構築できた。最終的に0.08mgの純粋な低分子配糖体を得た。単離後は、構造解析を行う。理化学研究所と共同研究による800MHz高磁場NMRを利用し、コールドプローブによる各種スペクトル測定を行った。カーボンNMRについては解析不可能な測定結果を与えたが、プロトンNMR,DQF-COSY,NOESY,HMQC,HMBCスペクトルが十分な感度で測定することができた。また、エレクトロンイオンスプレー(ESI)質量分析法を用いたFT-ICR高分解能質量分析測定により分子式を決定することができた。この結果と、各種NMRスペクトル解析の結果、活性物質の構造を決定することができた。また、精製効率の悪いステップにおける原因を解析した。各段階におけるカチオン量を測定したところ、精製効率の悪いステップにおいては金属カチオン含有量が大幅に減少するという結果を得た。
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