研究概要 |
本研究は細胞の発生や分化に重要な役割を果たしている受容体型チロシンキナーゼ,特に繊維芽細胞成長因子受容体(FGFR3)の活性化メカニズム,活性制御のメカニズムにおける膜貫通(TM)部位,細胞質内膜近傍(juxtamembrane :JM)部位の機能の解明を目的したものである. FGFR3のTM-JM部位配列の合成化学的調製法を確立し,その方法を用いて調製した試料を用いることにより, 当受容体TM-JM 配列の構造解析を行った. その結果,野生型の配列,常時活性型変異が導入されたそれら二つの配列ではdimerization interface,さらにはJM部位の構造が異なるという知見を得た. この結果はTM部位での構造変化が,JM部位にも影響を与え, 挙動の違いとして現れることを初めて示すものであり, 受容体型チロシンキナーゼの機能発現メカニズムの解明に大きく貢献するものと考えている.
|