ウミホタル発光系は典型的なルシフェリン・ルシフェラーゼ反応であり、その発光量子収率はホタルルシフェラーゼ(0.45)に継ぐで、0.3である。また、その反応回転数はルシフェラーゼの中で最も高い。さらに、ウミホタルルシフェラーゼは極めて安定で、室温で長期間保存できる特性を持っている。本年度は、このウミホタルルシフェラーゼに着目したイムノアッセイ技術と個体のイメージング技術開発を進めてきた。1、ウミホタルルシフェラーゼのリジン残基にプロスタグラジンE2(PGE2)を導入し、低分子生理活性物質PGE2を検出する競合法を開発した。2、生体内のヘモグロビンの吸収による青い発光を示すウミホタルルシフェラーゼの発光量の低減を緩和するため、ルシフェラーゼの糖鎖に近赤外線蛍光色素を導入した。この改変ルシフェラーゼとモノクローナル抗体を用いて、マウスでモノクローナル抗体が標的分子を発現するがん細胞に集積していくことを可視化することに成功した。本研究で確立した技術は、臨床検査キット開発やモノクローナル抗体の評価における新しい強力なツールとしての展開が期待される。
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