本研究では、生体中の病気に関わる細胞表面のバイオマーカーの可視化法を確立するため、近赤外線の発光プローブの開発を行った。ビオチンウミホタルルシフェラーゼの糖鎖に蛍光色素を導入した結果、ルシフェラーゼの本来の青い発光ピックのほかに、生物発光共鳴エネルギー移動機構(BRET)による新たな近赤外線の発光ピックが観測された。次に、発光タンパク質と医療抗体の候補の一つであるモノクローナル抗Dlk-1抗体とビオチン・アビジン結合で連結させ、Dlk-1抗原を発現しているヒト肝癌細胞株の可視化を試みた。抗原を発現するHuH7細胞は抗原・抗体反応によってラベルされ、細胞表面から発光活性が細胞用の発光イメージング装置よって観測された。また、Dlk-1抗原を発現するヒト肝癌細胞を移植したヌードマウスから腫瘍特異な発光シグナルが観測された。一方、体外のバイオマーカーの定量法を開発するため、ウミホタルルシフェラーゼの高い発光活性を着目したイムノアッセイ技術の開発を合わせて検討した。
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