研究概要 |
平成20年度中に, 研究代表者は2008年7-8月・11月, 2009年3月の3回に分けて, 対象村落において, 平成19年度に作成した土利用図を用い, 過去の土地利用の復元を中心とした縦断的調査と, 村人の生活現状にかかわる生活時間配分, 健康状態, 栄養摂取などを中心とした横断的調査を行った. そして, 平成19年度に収集したデータの更新も実施した. 縦断的な調査においては, 19年度に収集した土地利用情報にもとづき, 過去25年間に遡って, 各土地パーセルの利用情報を3年間ごとで復元した. これらの時系列的な土地利用のデータは, 政策がどのような道筋で人々の生活および彼らが依存している自然環境に影響を与えているという問題の解明に寄与する. 20年度の横断的な調査は, 19年度実施した調査の補完であり, 異なる季節(農閑期/農繁期)に対象村落に入り, 小型GPSと加速度計を用いた生活時間調査, 直接秤量による食事調査と食事頻度調査(FFQ), 栄養状態評価を目的とした生体計測, 生活満足度など中心とした質問紙調査, などである. 調査結果は対象者生活の現状評価に寄与する. これらのデータを, 対象者が居住する村落の自然社会環境, 世帯の環境利用状況, 市場経済化の程度などとの関連において分析し, 人々の健康と両立する農村開発および森林環境保護のためのモデル構築に基礎的な知見を提供する. このほか, 特筆すべきは, 19年度に開発に着手した対象者の環境利用パターンを解明するための小型GPSと加速度計を用いた生活時間調査方法の向上である. 19年度に開発したプログラムに基づき, VBA(Visual Basic for Application)言語を用い, プログラムの汎用化を可能にした. そこで, 本研究の対象地だけでなく, 他の研究者と協力し, ベトナムなどの周辺国家でも, 個人の行動/環境利用パターンを時間, 位置, 場所, 身体活動レベルの4つの側面から関連づけて分析することができるデータベースを構築することができた.
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