本研究は、現代中国の主権者である人民が自らの代表をつうじて権力を行使する機関である人民代表大会とその諮問機関である政治協商会議という「議会」(両機関は現代中国において代議制を制度的に具体化した「議会」と位置付けられる)の活動の実態を明らかにすることで、現代中国の政治空間における「議会」の存在位置と機能を検証する。 検証作業をつうじて現代中国における「議会」の活動の可能性を明らかにし、「議会」という観点から現代中国政治の変化の方向性を析出することを試みる。同時に、この作業をつうじて現代中国の政治空間が議会制度を受容する実態を明らかにすることで、「現代中国における議会制度」の視点から比較政治研究に貢献しようと試みる。 今年度は、(1)人民代表大会や政治協商会議の実務担当者との間に学術的な交流をもつ在中国の研究者との研究交流をつうじて、フィールド調査を実施候補地の選定をおこなった。(2)また引き続き、同時に海外在住の人民代表大会や政治協商会議の研究者との意見交換をすすめてきた。(3)このほか、在中国の研究者や地方人民代表大会や政治協商会議の実務担当者とも意見交換をつうじて、人民代表大会制度や政治協商会議に関する実務的な専門知識の習得に努めた。 とくに今年度は、積極的に人民代表大会や政治協商会議に関する基礎資料の蒐集に努めた。具体的には、人民代表大会代表や政治協商会議委員が提出する議案・提案・建議、それに対する行政機関の回答に関する資料、および人民代表大会代表や政治協商会議委員の個人に関する資料(氏名、性別、年齢、選出選挙区、職業、所属政党を含む)である。これらの資料を次年度は分析をすすめてゆくことになる。
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