本研究の目的は、レバノンのシーア派イスラーム組織ヒズブッラー(ヒズボラ)の思想と活動を実証的に調査・研究することである。具体的には、1年目に主に思想的側面を、2年目に組織構造および活動の分析を試みた。アラビア語原典資料の収集と分析を通して、特に近年のヒズブッラーの行動論理を明らかにすると共に、2度のフィールドワーク(レバノン、イラン)の成果によりこれまでほとんど知られてこなかったその社会活動および資金の流れに関する一定の知見を得ることができた。ヒズブッラーは現代世界において最も成功しているイスラーム運動の1つである。したがって、本研究で得られた成果は、ヒズブッラーの実態解明だけではなく、イスラーム運動一般を論じる際にも多くの示唆を与えるものとなる。
|