本研究では、現地調査に基づく農村研究が極めて少ないミャンマーにおいて、農村フィールドワークを継続的に実施している。本年はその2年目にあたる。選定した調査村は同国の中央部に位置し、東南アジアでは希な半乾燥気候地域にある。農・畜・林業生産にとって比較的厳しい自然環境条件下で、農村部住民がどのような生業・生活システムを構築しているのかを明らかにし、ミャンマー農村部ひいては半乾燥地帯農村の持続可能な農業・農村発展に向けた指針を得ることを目指している。 本年度は現地調査により、初年度の調査結果から示唆された生態・経済的な不確実性の生産や収入への影響を緩和する農業生態的メカニズムについて、その妥当性を検証するためのデータを追加収集した。調査村では悉皆調査をおこない、昨シーズンの作物生産・家畜肥育・不作メカニズム・農外収入などのデータを蓄積した。現地の行政機関などからは、日毎降雨データや河川水位データなどを得て、その変動パターンを分析した。農産物販売価格の変動や作目毎の生産費の差異を把握するための聞き取り調査もおこなった。これらの研究成果の一部を学会で発表した。また、現地の植生や土地利用の変化を検証するためのリモートセンシング画像分析に向けた準備作業として、衛星画像と航空写真を分析可能な状態にするための加工をすすめている。さらに、本研究の基盤となるミャンマー農業・政策に関する資料収集や情報整理をすすめ、一部を原著論文として発表した。
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