本研究では、現地調査に基づく農村研究が極めて少ないミャンマーにおいて、農村フィールドワークを継続的に実施している。本年度はその3年目にあたる。調査村は同国中央部の半乾燥気候地域にある。 本年度は現地でのフィールドワークにより、これまでの調査結果から示唆された天水畑作農村が持つ生態・経済的な不確実性の生産や収入への影響を緩和する農業生態的メカニズムについて、その妥当性を検証するためのデータを調査村に居住する世帯への悉皆調査により追加収集し蓄積した。それに加えて、調査村近隣にある大河川の氾濫原を農地利用する地域における河川水位と農作物生産の年次変動、あるいはこの地域での農業労働にかかわる聞き取り調査と二次データの収集を行った。これらの結果、天水畑作村が数十年に一度程度被る極端な農作物の凶作年においても、異なる生態環境下にある村落との経済的な繋がりを活用して対処している実態を確認した。さらに、調査村とその周辺地域において中央政府や開発援助機関がおこなっているいくつかの貧困削減・環境保全事業の実施内容を確認し、農村によるそれらの受容の様子を分析した。 他方、現地の植生や土地利用の変化を検証するためのリモートセンシング画像分析を進めた。2000年代の衛星画像をベースにし、1980年代と2000年代の航空写真へ位置情報を付与して、それぞれの航空写真撮影時における土地被覆分析が可能な状態へと加工した。さらに、本研究の一部でもあるミャンマー稲作技術の集約化に関する情報整理をすすめた。
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