• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2009 年度 実績報告書

カント『純粋理性批判』超越論的弁証論の研究

研究課題

研究課題/領域番号 19720002
研究機関新潟大学

研究代表者

城戸 淳  新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (90323948)

キーワード哲学 / 倫理学 / カント / 弁証論 / 『純粋理性批判』 / 宇宙論的証明 / 幸福 / 神
研究概要

本研究は、カント『純粋理性批判』の超越論的弁証論に関して、心理学・宇宙論・神学の三つの形而上学批判の諸相を解明し、さらに弁証論をつらぬく理性批判の方法論的意義を明らかにしようとするものである。
本年度は理想論(神学)に関する研究をとりまとめ、論文「神の現存在め宇宙論的証明に対するカントの批判について」として発表することができた。これはカントの宇宙論的証明批判を、第四アンチノミーなどとも関わる弁証論の文脈におきいれて理解し、弁証論的理性に対する批判として読み解くものである。このような批判をとおして存在論的なユートピアを解体し、分析論における新たな様相論へと展開していく批判哲学の軌跡を、描きだすことができた。カントの弁証論の方法論的意義に関しても、この研究によって一定の見通しを得たところである。
さらに、弁証論研究の射程を『実践理性批判』の弁証論にまでひろげ、実践理性における徳と幸福のアンチノミーを考察し、その成果をカント協会でのシンポジウムで「カントにおける幸福のパラドクス-幸福主義批判と最高善とのあいだ」と題して発表した(これは『日本カント研究』(近刊)に収録)。このような実践的な弁証論もまた、カントの弁証論を総合的に理解するためには欠かせない観点であろう。
誤謬推理論における観念論の問題についても研究を進めているが、これは22年度からの科研費「近代哲学史のなかのカント理論哲学-対話的哲学史の試み」でも継続し、デカルト対カントという観点から研究をまとめる予定である。
今後とも、弁証論研究を続行し、弁証論に関わるこれまでの拙論をとりまとめ、さらにはあらたに数本の論文を発表し、最終的には弁証論に関する単著として刊行する所存である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2010 2009 その他

すべて 雑誌論文 (2件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 弁神論における幸福のエコノミー-ライプニッツのオプティミズムからカントの最高善へ2010

    • 著者名/発表者名
      城戸淳
    • 雑誌名

      エコノミー概念の倫理思想史的研究〔課題番号1932005〕平成19年度~平成21年度科学研究費補助金(基盤研究(B))研究成果報告書・補足論集

      ページ: 44-56

  • [雑誌論文] 神の現存在の宇宙論的証明に対するカントの批判について2009

    • 著者名/発表者名
      城戸淳
    • 雑誌名

      新潟大学人文学部『人文科学研究』 25

      ページ: 1-31

  • [学会発表] 弁神論における幸福のエコノミー-ライプニッツのオプティミズムからカントの最高善へ2009

    • 著者名/発表者名
      城戸淳
    • 学会等名
      第62回哲学/倫理学セミナー
    • 年月日
      2009-12-19
  • [学会発表] カントにおける幸福のパラドクス-幸福主義批判と最高善とのあいだ2009

    • 著者名/発表者名
      城戸淳
    • 学会等名
      日本カント協会、第34回学会
    • 発表場所
      立正大学
    • 年月日
      2009-11-21
  • [備考] 愛媛大学法文学部と新潟大学人文学部との学術交流講演会の講演録

    • URL

      http://www.human.niigata-u.ac.jp/mt/ningen/2010/03/pots_53.html

URL: 

公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi