討議倫理学の応用可能性に関する研究を進めるために、本年(平成20年)度の研究実施計画に従い、以下のように研究を実施した。 1. 前年度に引き続き、先行研究を体系的に整理し、「適用問題」という観点から検討するために、責任倫理学としての討議倫理学(1980年代)から90年代の「道徳の現実的討議理論」(ニケ)までの討議倫理学の展開を概観し、その間題点を考察した。その成果を「討議倫理学の新展開-マルセル・ニケの「道徳の現実的討議理論」について」及び「討議倫理学の「適用問題」に対する新たなアプローチーマルセル・ニケの「道徳の現実的討議理論」における「相互性」の原理について-」として公刊した。 2. 討議倫理学の「応用可能性」を探求するために、行為倫理学としての討議倫理学を提唱しているヴォルフガンク・クールマン博士にドイツでインタビューを行った。また、大阪大学にて、討議倫理学の応用可能性に関して、研究打ち合わせを行った。その成果は、平成21年度に研究発表あるいは論文として公刊する予定である。 3. 批判的社会理論研究会へ参加し、討議倫理学に関わる国内の研究者と交流を行った。
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