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2007 年度 実績報告書

リハビリテーションとしての現象学

研究課題

研究課題/領域番号 19720006
研究機関東洋大学

研究代表者

稲垣 諭  東洋大学, 「エコ・フィロソフィ」学際研究イニシアティブ, 研究助手 (80449256)

キーワード現象学 / 認知運動療法 / 探求プログラム / 脳中枢神経系 / 意識
研究概要

リハビリ医療を現象学的観点から構想し直すためには、人間を、脳、身体、意識といった三つのシステムからなる複合連動系として理解する必要があり、この複合連合系の探求と治療がリハビリの課題となる。複合連動系を取り扱うさいの困難な点は、それぞれのシステムの影響関係を厳密に予測できないことにある。例えば脳システムの障害が、必ずしも意識システムの変異を起こさないのと同様、意識システムの障害が、身体の行為能力の損傷を引き起こさない場合さえある。とすれば、脳障害による病理的診断が、必ずしも患者の意識経験の病理と一致することはなく、その溝を埋める現象学的な観察が不可欠になる。19年度は、上述の構想計画を実現するために、イタリアにある認知運動療法の療養施設を訪ね、そこでの臨床研修及びセラピストとの討議を行った。日本国内でも多くの視察および文献収集を行い、情報ネットワークの構築に努めた。それにより、次年度以降、以下の流れで当プログラムを展開することを可能にした。
1、臨床の立ち合いおよび臨床データの獲得を通して、健常的な現象学者では気づきえない意識ないし身体の特質へむかうための機会が与えられる。それにより、従来の現象学的記述に修正、訂正、改良の余地が生まれる。
2、それに伴い、当プログラムが展開しているのか、行き詰っているのかを判定するための外的・内的基準がおのずから出現する。このことが、現象学と経験科学との接合点を示すことになる(探求プログラム)。
3、この接合点を軸に、理学・作業療法士といった医療現場の経験科学者に対して、これまで見落とされてきた意識経験、身体経験の現象学的記述にアクセスする通路を開く。そうした現象学的経験が、実際の治療現場に取り込まれ、実践されることにより、現場から新たなデータを獲得することができ、現象学的記述をさらに改良することが可能になる。以下、(1)〜(3)が前進的に反復される。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2008

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] 認知運動療法と現象学-形成的治療の探求プログラム序説2008

    • 著者名/発表者名
      稲垣 諭
    • 雑誌名

      認知運動療法研究 7号

      ページ: 61-78

    • 査読あり

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公開日: 2010-02-04   更新日: 2016-04-21  

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