本件は東アジア各地域における「家」(とそれに付随する諸概念)のあり方に焦点を当て、それらの比較を行うことを目的としており、16世紀を中心としながらも現代までを、研究の視野に入れている。そのため、時間的・空間的な規模の大きさを、如何に処理するかが課題となっている。その点に留意し、問題意識が散漫にならない様、極力個別の事例を取り上げ、本件のテーマ(「家」)に即しながら研究を行う。更に、各年度において対象とする地域(国)を限定し、それぞれの地域における現代の実情とその地域で形成されている「家(宗族)」についての規範意識を取り上げ、それらが、どのような「歴史的背景」を持っているのかを、史料に依拠しつつ明らかにすることを予定していた。その後の段階として、各地の個別調査、研究を通して得られた事例を体系化し、比較総合を行った上で、東アジア各地域の歴史的・現代的意識の特色(差異点)と共通(共有)点を明らかにすることを目的とした。この目的に添って、各年度に於いて台湾、中国、韓国を訪れて現地調査を行い、その結果を集約、発表してきた。また、現地調査の際には、歴史的背景も念頭に置きながら、それらと現代との関連を探ることとした。
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