本研究は、20世紀における「生物」と「無生物」をめぐる思考を総合的にたどることを目指すものである。これは現代思想史研究の試みとして企図されている。本研究では「生物/無生物」という概念を指標として、この対概念が20世紀の思想の展開においてどのような意味を持ち、また影響を及ぼしてきたのかを系譜学的に整理・記述する。その際には、20世紀における「人間」概念についての思考の歴史に同時代の生命科学の展開が与えた影響の深さを分析することもまた重要な課題として位置づけられる。本研究は医学・生命科学と思想との相互交渉の歴史を、その第一次資料を集積し、整理しなおし、今後の思想史研究のためのひとつのアーカイブズとして呈出するものとなることを最終的な目標とする。
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