論文「アウシュヴィッツ以後の芸術」では、アドルノの戦後の芸術思想のなかで、同時代の音楽への評価がなぜ高くなかったのか、これに対して「アウシュヴィッツ以後」の芸術としてベケットの文学作品がなぜ重視されたのかを明らかにした。 ハイデルベルク大学の学際研究プロジェクト「グローバルな文脈におけるアジアとヨーロッパ:文化の流れの非対称性とその変化」The Cluster of Excellence "Asia and Europe in a Global Context : Shifting Asymmetries in Cultural Flows"の研究グループB2「創造的不協和:グルーバルな文脈における音楽」(Creative Dissonaces : Music in a Global Context)に客員研究員として参加し、このプロジェクトの問題意識を共有しながら、日本の文脈における「芸術音楽」「前衛音楽」「不定形音楽」の再検討をおこなった。2011年2月3日にはハイデルベルク大学にて学術講演Art Music in the Japanese Context-On the Dialectics of the Traditional and the Avant-gardeをおこない、その成果を発表した。この英語講演の文章は、学術論文として当研究プロジェクトの研究紀要に2011年度中に公表される予定。
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