平成19年度科学研究費補助金交付申請書の記載に従い、順調に研究が遂行された。海外調査としては、フィレンツェおよびヴェネツィアの博物館、美術館、図書館において資料収集および調査をおこなった。また国内に所蔵される関係資料の調査および収集にもつとめた。 (1)中世とルネサンス期の祝祭行列の関係について、各種史料の収集をおこなった。 (2)ペトラルカ『凱旋』のテクストと写本挿絵、そして実際に取り執り行われた祝祭の記録の比較検討によって、『凱旋』図像と山車行列の影響関係について考察を深めた。単に挿絵から山車行列へと三次元化されただけでなく、現実の山車行列が絵画表現に影響を与えることもあったことが明らかとなった。 (3)活人画(タブロー・ヴィヴァン)に関しては、祝祭行列の山車の上を舞台とするタイプものと、行列のおこなわれる沿道に設置された凱旋門上に置かれるもの、および室内での祝宴を飾るタイプのそれぞれについて、資料収集をおこない、分析作業を遂行中である。近代以降の活人画への影響としては、とりわけ、大正および昭和初期の日本の大衆芸能における活人画のあり方について検討をおこなった。具体的には軽演劇やレヴューの舞台における活人画的演出について考察した。この点に関しては、東京大学文学部でおこなった講義においても取り上げ、学生からの様々な反応を得た。近代芸能における活字画受容に関しては今後調査を継続していく予定である。
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