研究概要 |
アジア系アメリカ研究において、混血児をどのように配置するのか、その位置性に関しての研究は十分でなく、また、混血児をどのように呼称するかについても意見の統一がなくばらばらであり(混血児を呼称する表現としては、hapa, Amerasian, Eurasian, Afroasian, interracial, multiracial等がある)、理論的構築が十分でないのが実情である。そこで本研究では、21世紀における新たな人種関係論の構築として、ハパ研究の理論的礎の構築を目的とする。混血児を特別視する日本人の単一民族メンタリティに、ハパという概念を持ち込むことは、新たな人種理解につながり、文学論の表象研究だけでなく、社会的にも政治的にも極めて有用である。また、ハパ研究に必須の、戦争花嫁と混血児問題、新移住者と混血児問題、そしてアジア系女性と他人種男性のアウトメリッジ、といった混血児問題と密接にかかわるジェンダーの力学をハパ理論構築に取り入れることは、ジェンダー研究の視点からも、学術的価値が高いと思われる。以上が、本研究の学術的背景であり、以下が今年度行った基礎的調査である。 (1) 日米における混血児問題の先行研究の調査 : 今年度は、人種概念そのものに関する先行研究を中心に調査を行った。(2) 混血がメディアでどのように表象されているかの調査 : この問題に関しては、羊舎研究所の研究協力をいただくことができ、1980年代頃までの調査が進んだが、現現在の表象研究に関しては、今後も調査継続が必要。(3) 成果の発表 : ハワイ大学での学会発表、研究論文、著作等で、過去2年間の発表の一部を大家江にすることができた。21年度も継続予定。
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