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2009 年度 実績報告書

東方文化事業と中国人留学生に関する研究―陶晶孫を中心として

研究課題

研究課題/領域番号 19720083
研究機関早稲田大学

研究代表者

中村 みどり  早稲田大学, 国際教養学術院, 助手 (30434351)

キーワード東方文化事業 / 中国人日本留学生 / 自然科学研究所 / 陶晶孫 / 中国文学
研究概要

これまでに収集した医学団体同仁会の機関誌『同仁』、九州帝国大学の『要覧』などの資料をもとに、論文「七理重惠と中国歌謡-『同仁』を中心としてー」、「陶晶孫のプロレタリア文学作品の翻訳(続)-築地小劇場、人形座との関わり」を執筆した。これらは、帰国後に陶晶孫が関わった雑誌の性質と人脈の一部を明らかにしたものである。
調査としては、2009年度春休みに北京の国家図書館、上海図書館、安徽医科大学档案館を訪問し、留日経験者が組織した学術団体中華学芸社の機関誌『学芸』(1931年前後の刊行分を閲覧)、陶晶孫が勤務していた上海の東南医学院が刊行した史料【『東南医学院八週記念特刊』(1934年)、『東南医学院二二級卒業記念刊』(1933年)、『東南医学院要覧』(1936年)、『安徽医科大学校史資料』(2006年)、『校声』(34-35年、48年)】、戦時中に刊行された日本政府系の中国語新聞『新申報』(1941-44年)、中日文化協会上海分会の機関誌『文協』(1943-44年)を閲覧した。
これらの史料から、教員の2/3が日本留学経験者であった東南医学院では、1937年まで同仁会、上海自然科学研究所との交流が密接であり、陶の人脈が生かされていたことが窺えた。また同学院は戦時中も上海に留まり学生の募集を続けていたが、残留した教員のなかには、共産党系の抗日活動に参加した台湾出身者がいたことなどがわかり、当時彼が身を置いていた複雑な政治状況が浮かび上がってきた。さらに陶が第三回大東亜文学者大会の副議長に選出されながら、その期間に敢えて少女趣味的な小説を発表し続けたことから、彼の文学における抵抗の形を見ることができる。
台湾まで足を延ばして調査することができなかったが、まずは現時点で収集した資料の整理を終え、本年度より東方文化事業と陶晶孫の関係に関する論文の執筆に着手したい。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2009

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] 七理重恵と中国歌謡-『同仁』を中心として-2009

    • 著者名/発表者名
      中村みどり
    • 雑誌名

      中国民話の会通信 89号

      ページ: 2-10

  • [雑誌論文] 陶晶孫のプロレタリア文学作品の翻訳(続)-人形座0築地小劇場との関わり-2009

    • 著者名/発表者名
      中村みどり
    • 雑誌名

      中国文学研究 第35期

      ページ: 63-77

    • 査読あり

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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