研究概要 |
本年度は, 主にオノマトペの語形成を中心に, 韻律語形成現象に関わる言語事実の収集と分析を行った。また, 短縮語・混成語については, 分析に関わる音韻構造データベースの整理と修正の作業を進めた。 1. オノマトペ : 新造形式のプロソディの探究に関する作業の一つとして,部分反復形の語形成ならびに韻律特性の分析を行った。資料の収集と並行して, 部分反復語形成における反復辞生成のプロソディ特性について研究を進め, 日本語オノマトペの部分反復現象では軽音節が反復辞生成の鋳型として機能しているとの知見を得た。この知見については現在分析を継続中であり, 成果を公表すべく学会発表の申請を行ったところである。 2. 短縮語・混成語 : 音韻構造データベースに一部修正の必要が生じたため, 用例の追加と改訂の作業を行った。また, 外来語短縮現象における特殊モーラの階層に関して分析を進め, 主に撥音と二重母音の特性について, オノマトペの語形成におけるこれらの特殊モーラの特性との異同を探った。混成語形成については, 試験的に抽出した検査語彙を用いた予備テストを試みたが, 当初予測していたものとは大きく異なる結果が出るに至ったため, 検査方法について再度本格的に検討しなおす必要性が生じた。このため現在,混成語に関しては事実収集のための方法についての検討を継続的に進めている。 3. 音韻理論研究 : 主にオノマトペの部分反復現象に関して, 照合理論の枠組みでの一般化を目指し, 関連する先行知見について精査・検討を続けている。
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