平成21年4月26日に京都の総合地球環境学研究所で行われた日本・ナイルエチオピア学会で、ウォラィタ語に関する口頭発表を行った。言語類型論の分野で言われている普遍性に対する反例と思われる関係節構文について発表を行い、有益なコメントを得ることが出来た。それを元に更なる資料を集め、説得力のある論文として発表すべぐ現在努力中である。 また、同8月30日から9月27日にかけてエチオピアでの現地調査を行った。それにより、日本では一次資料の収集が絶望的なウォライタ語とカンバタ語の調査を行う事が出来た。 ウォライタ語に関しては、その語彙の全体像を探るべく、レベルの高い語彙調査を行った。幾つかの語に関する語形成を調べ、その意味に関しても従来の記述では捉え切れていなかったニュアンスや使用条件の確定を行った。これは将来ウォライタ語のしっかりした辞書を作成するために必須の作業である。 並行してウォライタ地域で調査票に基づいてカンバタ語の基礎的な文法調査も行った(録音を含む)。一見複雑な活用、トーンを有しているが、落ち着いて分析すると整然とした体系が見られることが分かった。残念ながら総て終えることは出来なかったが、ウォライタ語や他のエチオピア諸語との類似点、相似点もかなり明らかになってきた。今後の言語接触やアフロアジア比較言語学の研究にとって重要な視点をもたらすであろう。
|