研究課題
中国四川省成都市において約2週間の現地調査を行い、ギャロン語〓山方言の語彙、文型資料を収集した。収集したデータは電子化し、音声ファイルとともにDVD-Rにバックアップして他の研究者にも提供可能な形とした。なお、当初、甘孜蔵族自治州ないしアバ蔵族羌族自治州における現地調査を計画していたが、現地情勢が不安定であり外国人の入境制限や暴動等に巻き込まれる危険があったため、調査地を変更し期間も短縮して調査を実施した。前年度までに収集したデータと、新たに現地調査で得たデータを合わせて、地域特徴の実態の分析に取り組んだ。特に、コピュラについて、ダパ語の記述および周辺諸言語のコピュラ体系の対照を初めて行い、ダパ語に4種類のコピュラ語幹があること、それらを動詞類と認定しうる根拠、否定形におけるアンバランスな体系が見られること、さらに、同じチァン系の中で唯一類型的に近い特徴を持つのがムニャ語のコピュラ体系であることを明らかにした。研究成果は国際学会において発表し、内外の研究者と研究討議を行った。さらに、前年度までに取り組んできた研究の成果を論文にまとめて発表した。ダパ語の記述については、格標識と方向などの諸現象の相関についてより詳細な分析を行い、論文を発表した。また、対象地域の諸言語における方向接辞の機能について、ダパ語を中心に分析し、周辺言語との対照を行った研究を論文として発表した。さらに、存在動詞を用いたパーフェクトの表現について、その分析および成立過程に関する考察を論文にまとめ、現在、学術雑誌に投稿中である。
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『チベット=ビルマ系言語の文法現象1:格とその周辺』.東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所.
ページ: 287-310
Issues in Tibeto-Burman Historical Linguistics. Senri Et hnological Studies 75.National Museum of Ethnology.
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