本研究は、チベット・ビルマ系言語に属するマンデビ語Mangdebiklia : シナ=チベット語族、チベット=ビルマ語派、ヒマラヤ語支、チベット=キナウリ語群、東チベット諸語、Nyenkha、Henkha、Lap、Mangsdekhaとも称される)の記述的研究を行うものである。 本年度は、主として関連文献の収集及び現地調査を中心に行った。関連文献については、日本国内で刊行されたものはほぼ全て収集することができた。欧文文献については次年度以降も調査を継続していく。現地調査に関しては、ブータン王国において話される少数民族言語について、現地調査を中心とした資料収集をおこない、記述言語学的研究を進めた。ブータン渡航時にはブータン国内の関係部署への訪問をおこなった。 現地調査は2008年2月8日から3月1日、ブータン王国トンサ県及びワンディポジャン県においておこなった。主たる研究対象であるマンデビ語ツァンカ方言については、語彙調査のほか文法調査や自然発話の音声資料を収集した。このほか、周辺で話される諸言語の言語状況に関する調査もおこなった。今回の言語調査で、マンデビ語にはトンサ県でおこなわれている12方言とワンディポジャン県でおこわなれている5方言に分類できることが判明した。また、現地調査で得た一次資料をもとに、マンデビ語トンサ方言に関する記述言語学的並びに社会言語学的立場からの研究を進めた。 今年度は東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所の共同研究プロジェクト、チベット=ビルマ言語学研究会などに出席し研究討議をおこなった。 研究成果の初歩的報告として、2008年7月に行われる第15回チベット=ビルマ言語学研究会にて「マンデビ語の概要-並びにブータン王国の言語状況-」と題する論文を発表予定であり目下執筆中である。
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