研究概要 |
本年度は,まず,これまでに収集した音声資料のデジタル化を行い資料の整理を行った.この作業によって既存資料の再検討を行い,その結果をふまえて2007年6月16日に麗渾大学で開された日本言語学会第134回大会において「上ソルブ語の再帰代名詞対格長形sebje」という題目口頭発表を行った. 8月にはドイツ連邦共和国ザクセン州クロストヴィッツ村ならびにレッケルヴッツ村にて4週間のフィールドワークを行った.この調査は,おもに中高年層の上ソルブ語話者に短編映Pear filmを提示して,その内容を語ってもらう形式で行った.この調査により,計9名からの声音資料を得ることができた.音声データはWAV形式で録音し,コンピュータ上のHDDならびにCR-ROMに記録・保管している.またその複製を音楽CDとしても保存している.その後,音声資料の文化を行い,形態素分析ならびに日本語訳とドイツ語訳を付した形で整備した.本資料は, 2008年中に文法注釈つきテキスト集として出版すべく準備を進めているところである. 2008年2月には「世界の諸言語における態(voice)の類型論的研究」研究会にて表する機会に恵まれ,この資料に基づいてテキスト内の結束度という観点から文頭要素,主語,受動の関係を扱った発表「上ソルブ語における文頭要素と主語-受動文の代替手段-」を国立民族学博館にて行った.資料アーカイブ設計については,問題点の洗い出しを行い,構築に向けて作業を進めているところである.
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